16 Items台湾PIFガイド
台湾の化粧品PIF・16項目と、
日本側で準備する書類

台湾PIFは、「化粧品產品資訊檔案管理辦法」第3条で定められた16項目で構成されます。日本のブランドやメーカーが準備する中心は、全成分と配合量、製造方法、GMPの証明、各種試験報告書、原料の安全性資料です。成分の毒性データは、安全性評価者が文献やデータベースから調査します。日本語の資料には、中国語または英語の訳が必要です。
16項目の一覧
| No. | 項目 | 内容と典型的な資料 | 主な提供元 | 日本企業が注意したい点 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 製品の基本情報產品基本資料 | 製品名、製品の類別、剤型、用途、製造所の名称と住所、製造業者・輸入業者の情報 | 輸入業者・ブランド | 工程を分けて製造する場合は、すべての製造所と担当工程を記載します。 |
| 2 | 製品登録の完了を証明する書類完成產品登錄之證明文件 | 製品登録システムでの登録完了を示す書類 | 輸入業者 | 製品登録は台湾の輸入業者が行います。 |
| 3 | 全成分の名称と各成分の配合量全成分名稱及其各別含量 | 全成分(INCI名)と、各成分の配合量(%) | 製造元 | 日本の全成分表示では配合量を開示しないため、製造元との調整に最も時間がかかる項目です。香料の組成は、香料メーカーが発行するIFRA適合証明書(IFRA Certificate)で対応するのが一般的です。 |
| 4 | ラベル・添付文書・外箱または容器產品標籤、仿單、外包裝或容器 | 台湾で使用する表示(中国語表示を含む)の内容 | ブランド・輸入業者 | 型番や色番がある場合は、それぞれを識別できるようにします。 |
| 5 | 製造場所のGMP適合を示す証明書または宣誓書製造場所符合化粧品優良製造準則之證明文件或聲明書 | GMP証明書、ISO 22716の認証書、または宣誓書 | 製造元 | OEM先の工場が保有する認証の写しを依頼します。 |
| 6 | 製造方法・工程製造方法、流程 | 製造工程の概要(工程図など) | 製造元 | 詳細なノウハウまでは不要な場合が多く、範囲は個別に調整できます。 |
| 7 | 使用方法・部位・使用量・頻度・対象者使用方法、部位、用量、頻率及族群 | 使用方法、使用部位、1回の使用量、使用頻度、使用対象者 | ブランド | 安全性評価で暴露量を計算する基礎になります。 |
| 8 | 使用時の副作用(有害事象)の情報產品使用不良反應資料 | 市販後に寄せられた有害事象の情報 | ブランド・輸入業者 | 日本で販売実績がある場合は、その情報も役立ちます。 |
| 9 | 製品と各成分の物理化学的性質產品及各別成分之物理及化學特性 | 製品の規格(外観、pH、粘度など)と、各原料の規格書・分析証明書(COA)・SDS | 製造元・原料メーカー | 製品そのものの規格と、原料ごとの資料の両方が必要です。原料ごとの資料は、製造元を通じて原料メーカーから集めます。 |
| 10 | 成分の毒性データ成分之毒理資料 | 各成分の毒性情報(文献、データベース、原料メーカーのSDSなど) | 安全性評価者(文献・データベース調査) | 原料メーカーに毒性データがなくても、安全性評価者が文献やデータベースを調査して整理します。日本側で収集していただく必要はありません。 |
| 11 | 安定性試験報告書產品安定性試驗報告 | 保存条件での安定性試験の報告書 | 製造元・試験機関 | 日本で実施済みの試験が使えるかを、試験方法と条件から確認します。 |
| 12 | 微生物試験報告書微生物檢測報告 | 生菌数と4種の指定微生物(大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス)の試験報告書 | 製造元・試験機関 | 台湾の基準(生菌数の上限と4菌種の不検出)への適合を示します。微生物リスクの低い製品では、防腐効力試験とあわせて省略できる場合があります(次項)。 |
| 13 | 防腐効力試験(チャレンジテスト)報告書防腐效能試驗報告 | 防腐効力試験の報告書(ISO 11930、TFDAの試験指引など、方法を明記したもの) | 製造元・試験機関 | 微生物リスクの低い製品では省略できる場合があります(次項)。 |
| 14 | 効能・効果の根拠資料功能評估佐證資料 | 特定の効能を表示・宣伝する場合の、根拠となる試験報告書や文献(SPF・PA値、低刺激性など) | ブランド・製造元 | 特別な効能をうたわず、通常使用できる表現の範囲で表示する製品では、根拠資料は不要です。SPF値など特定の効能を表示する場合に用意します。 |
| 15 | 製品に接触する包装材料の資料與產品接觸之包裝材質資料 | 容器・キャップ・パフなど、製品に触れる包材の材質 | 製造元・資材メーカー | 資材メーカーの材質証明などを使います。 |
| 16 | 製品安全資料產品安全資料 | 安全性評価者が署名し、日付を記載した安全性評価の結論と推奨事項、安全性評価者の資格証明 | 安全性評価者 | 第1〜15項の資料をもとに作成します。 |
表は横にスクロールできます。
第11〜13項を省略できる場合
安定性試験(第11項)、微生物試験(第12項)、防腐効力試験(第13項)は、安全性評価者が製品の性質から不要と判断し、その理由を第16項に記載した場合に限り、省略することができます(管理弁法第3条第5項)。
TFDAの「化粧品產品資訊檔案製作指引」は、微生物への感受性から製品を次の3つに分けています。
| 区分 | 製品の例 | 微生物試験 | 防腐効力試験 |
|---|---|---|---|
| 微生物リスクの低い製品 | アルコール20%以上、有機溶剤が多い、pHが極端に高い・低い製品など(ISO 29621) | 省略できる | 省略できる |
| 使い切り・開封しない容器の製品 | 使用中に内容物が空気に触れない容器など | 必要 | 製品ごとに判断 |
| 上記以外の製品 | 一般的な水系のスキンケア、メイクアップなど | 必要 | 必要 |
低リスク製品に当たるかどうかの具体的な条件(pH、アルコール濃度、水分活性、充填温度など)は、微生物試験を省略できる製品の条件で解説しています。省略の可否は最終的に安全性評価者の判断と、その理由の記載によります。「試験はすべて不要」と一律に扱えるわけではありません。
微生物試験で求められる5項目
台湾の「化粧品微生物容許量基準表」(2022年1月1日施行)では、次の5項目が基準になっています。日本で実施した報告書を使う場合も、この5項目がそろっているかを確認します。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 生菌数 | 3歳以下の子ども用、目の周り用、粘膜に触れる製品:100 CFU/g(mL)以下 その他の製品:1,000 CFU/g(mL)以下 |
| 大腸菌(Escherichia coli) | 検出されないこと |
| 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) | 検出されないこと |
| 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) | 検出されないこと |
| カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) | 検出されないこと |
日本の微生物限度試験では、カンジダ・アルビカンスを個別に検査していないことがあります。その場合は、不足している項目だけを追加で試験できる場合もあります。
日本側で準備する資料
実務上、日本側にお願いすることが多い資料は次のとおりです。製品や既存の資料によって、必要な範囲は変わります。
製造元(OEM・自社工場)から
- 全成分と配合量(香料を使う場合は、香料メーカーのIFRA適合証明書)
- 製造工程の概要
- GMPまたはISO 22716の証明書、もしくは宣誓書
- 製品規格、安定性・微生物・防腐効力の試験報告書(実施済みのもの)
原料メーカーから
- 原料の規格書、分析証明書(COA)、SDS
- 毒性データ(保有している場合。なくても安全性評価者が調査します)
ブランド・販売元から
- 使用方法・使用量・対象者。特定の効能を表示する場合は、その根拠資料
- 日本での販売実績と、有害事象の情報
- 包材の仕様
配合量の取り扱い
第3項の「各成分の配合量」はPIFの必須項目で、PIFは台湾の輸入業者の所在地に保管されます。TFDAは、輸入品のPIFを海外の製造元だけで保管することはできないとしています。そのため、配合量を一切開示せずにPIFを完成させることはできません。
一方で、TFDAの「入門手冊」は、PIFの資料を複数のデータベースに分けて保管し、所在を示す参照表を備える方法を認めています。秘密保持契約(NDA)の締結、製造元から安全性評価者への直接送付、閲覧範囲の限定など、法令の範囲内でできる対策を、契約前にご相談しながら決めていきます。
日本語資料の翻訳
PIFは中国語または英語で作成し、元の資料がそれ以外の言語の場合は、中国語または英語の訳を備える必要があります(管理弁法第3条第2項)。TFDAのQ&Aでも、日本語の資料には中国語または英語の訳が必要と明記されています。日禾科研では、日本語の資料を安全性評価者が直接読み、PIFに必要な形で中国語にまとめます。
色違い・シリーズ品
TFDAの製作指引は、型番や色番が異なる製品について「それぞれを明確に識別できること」を求めています。製品登録では、色素や香料だけが異なる同じシリーズの製品を一つにまとめて登録できます(製品登録弁法第6条)。PIFを一つにまとめられるかどうかは、色素などの違いを安全性評価でカバーできるかによって個別に判断します。
出典
- 化粧品產品資訊檔案管理辦法 第3条(全國法規資料庫)
- TFDA「化粧品產品資訊檔案製作指引」(2023年10月)
- TFDA「化粧品產品資訊檔案製作入門手冊」(2023年10月)
- TFDA「化粧品產品資訊檔案解惑篇」Q&A
- 化粧品產品登錄辦法(全國法規資料庫)
- 化粧品微生物容許量基準表修正規定(行政院公報、2022年1月1日施行)
- ISO 29621:2017 Cosmetics — Microbiology — Guidelines for the risk assessment and identification of microbiologically low-risk products
本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の案件に対する法的助言ではありません。